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夜、夢、幻想 曲目解説(2025/1/5更新)

Updated: Jan 5

パントマイム / P.スパーク Pantomime / Philip Sparke

 フィリップ・スパークはロンドンに生まれた作曲家で、ブラスバンドや吹奏楽、そしてユーフォニアムをはじめとする管楽器のための作品を数多く世に送り出している。

 パントマイムというと、言葉を使わずに身ぶりや表情だけで表現するパフォーマンスを思い浮かべられると思うが、ここで言うそれはイギリスの主にクリスマスシーズンに家族で楽しむお芝居の事で16世紀のイタリアからヨーロッパ中に広がった即興演劇「コンメディア・デッラルテ」を起源としている。

 クリスマスらしいロマンチックなフレーズから賑やかなテーマまで、全編夢と煌めきに溢れたユーフォニアムの代表曲である。

 なお、当録音では楽譜の誤植についてスパーク氏ご本人に確認し、修正して演奏させていただいている。



3つの歌 Op. 29より「たそがれの夢」/R. シュトラウス

3 Lieder Op. 29 “Traum durch die Dämmerung” / Richard Strauss

 ドイツ生まれのリヒャルト・シュトラウスは後期ロマン派を代表する作曲家の一人である。

 この「たそがれの夢」は1894年から95年にかけて作曲された3つの歌曲 作品29の第1曲目で、ソプラノ歌手である妻のために書かれた。

 たそがれに包まれた広い野原、陽が落ちて星が瞬きはじめた、私は今、美しい人に会いに行く…ゆっくりと穏やかなこのメロディは、実はユーフォニアムにとってゆかり深いもの。というのも、シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」にも表れるのであるが、それはヴィオラ、バスクラリネット、そしてユーフォニアム(テナーテューバ)によって演奏されるのである。



幻想小曲集 Op. 73/R. シューマン

Fantasiestücke Op. 73 / Robert Schumann

 1849年はシューマンによって管楽器のための重要な作品が数曲生み出された年であり、この幻想小曲集op. 73もその一つである。元来クラリネットとピアノのために書かれた作品ではあるが、今日では様々な楽器のレパートリーとして頻繁に演奏されている。

 曲は3つの小曲からなるが、それらは続けて演奏され、また、各曲のモチーフやテーマの類縁性なども考えると、それぞれの表情は違いながらも大きな1曲としてとらえ、その中で各曲の性格[1. やさしく、表情豊かに]、[2. 生き生きと、軽やかに]、[3.速く、情熱をもって]が移り変わっていくものとして感じたい。

 新井がこれまでの人生で一番多く影響を受けてきた室内楽作品の一つで、第1回目のリサイタルでも取り上げている。1stアルバム「NASOTA」(2017)にも収録されているので、7年間の歳月による音楽の違いもお楽しみいただけると幸いである。



3つのうた より 「2.あそびうた」、「3.こもりうた」/新井秀昇

Asobi Uta, Lullaby from 3 Songs / Hidenori Arai

 「かごめかごめ」をテーマとし即興的なフレーズを紡いでゆく「あそびうた」。その中ではベンディングが多く使われているが、これは新井が若いころこの曲の歌詞をよく知らず「かーもめかもめー」だと勘違いしており、ならばとそのままかもめの鳴き声をイメージして書いたものである。日が暮れて子供たちは帰り、そして夜が訪れる。

 「こもりうた」では不思議な拍子感で心地よい浮遊感を誘う。中間部のAdagiettoは子供の夢であるかもしれないし大人の夢や想いでもあるかもしれない。再び不思議な拍子のテーマが現れ、より深い眠りへといざなう。

 なお、第1曲目の「はじまりのうた」は3rdアルバム「ユーフォニアム・アラカルト」に収録されている。



ドリーミング・ストーン/松浦真沙

Dreaming Stone / Masa Matsuura

 ある日、大学の廊下を歩いていると松浦さんに呼び止められ「今度ユーフォニアムの曲を出版するので楽譜を見て欲しい」とおっしゃってくださり、その場でご本人と一緒に音出しをしてみた。とても美しい曲で、ちょうどこのアルバムと同名のリサイタルを考えていたところだったのですぐにプログラムに入れたいと思った。

 以下、ご本人による曲目解説。


深い海の底に沈んでいる一つの石。その石は暗闇の中で、いつか誰かに見つけてもらえることを願いながら、今日も孤独に耐えている ―――――

そんな情景を描いた詩があった。


どれだけの長い時間待っているのだろう…どれだけの孤独感の中にいるのだろう…

私はその石の思いに心を馳せながら、ふとその石に自分を重ねていることに気付いた。

そして無性に石をそこから救い出したくなった。

石の待ち焦がれた明るい未来を、幸福を見てみたい…

それが作曲の動機である。



演奏してくださる皆様が、幾通りものハッピーエンドを描いてくださることを、心より願っています。


松浦真沙

(ZEN-ON MUSICサイトより)



おお、愛せるかぎり愛せよ!/F. リスト

O lieb, so lang du lieben kannst! / Franz Liszt

 ハンガリーの作曲家フランツ・リストはピアニスト、指揮者としても活躍し、特にピアニストとしては「ピアノの魔術師」と称される程かなりの人気を得ていた。

 「3つの夜想曲《愛の夢》」もピアノ曲として広く知られているが、もともとはそれぞれ歌曲として作曲されたもので、その甘美なメロディで最も有名な第3番は「おお、愛せる限り愛せよ!」というタイトルのもの。当アルバムではこの原曲歌曲版を収録している。



You can see about Hidenori's 4th album "night, dream, fantasy" at following link;

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